最終更新日:2020年11月15日

スイングトレードで逆指値注文を活用する:損切り+利益確定
スイングトレード 逆指値注文 損切り 利益確定株は売り時を見極めるのが一番難しいと言われています。売るタイミングが早すぎると、本来取れるはずだった利益を逃す可能性が出てくる一方、遅すぎる場合でも、利益を取り損なう可能性もあります。ポジション清算のタイミング1つで利益から損失に変わってしまうという事も十分に考えられるのです。
また、慣れないうちは「損切り」という行為にもそれなりの精神的負担を感じるものです。この損切りも非常に難しく、損切りポイントをどこに置くかで、トレードの成績が大きく変わってきてしまいます。
逆指値注文を活用する事のメリットは上記の判断について感情を介入させないところにあります。心理的に負担のかかる作業を自動化することは、投資において明確なメリットに繋がるのです。
逆指値注文を使った損切の具体的な戦略
株を買った時にしなければならない事、それが損切り注文です。これはリアルタイムで相場を見る事が出来ない人にとっては必須の作業になります。この注文を入れることは、急な暴落や相場の変動から自らの大切な資産を守ってくれることに繋がります。
損切りのポイントをどこに置くか
損切りポイントは、買ったタイミングによって柔軟に変える必要が出てきます。
上記の例での買いポイントは2通りです。
- 上値抵抗線を抜ける瞬間に買った場合
- 上値抵抗線を抜けたローソク足の高値を基準として買った場合
それぞれにおいての損切ポイントはどこに設定するのが良いのでしょうか。
1.上値抵抗線を抜ける瞬間に買った場合
この場合は、直近の安値に損切りポイントを設定するのが良いでしょう。投資家が意識をするのは直近の安値と高値です。逆指値注文を入れる際は、「市場価格が(直近の安値)以下になったら、成行で執行する」とします。
2.上値抵抗線を抜けたローソク足の高値を基準として買った場合
この場合は、上値抵抗線の価格に損切りポイントを設定するのが良いでしょう。注文を入れる際は、「市場価格が(上値抵抗線)以下になったら、成行で執行する」とします。
適切な損切り幅とは?
上記の例では、直近の安値と上値抵抗線を損切の基準としましたが、これについてもう少し深く考察してみます。
まず、直近の安値を基準とするのは、投資家達が多少なりとも意識をしている可能性がある価格だからです。つまり、抵抗線抜けで買ったにも関わらず、その後直近の安値を下回るような動きを見せてきた場合は、再度下落に転じる可能性があると判断します。これらを考慮し、直近の安値を基準としています。
これは上値抵抗線を損切のポイントとする際も同様に考える事が出来ます。上値抵抗線を超えたけど、再び割り込むような動きをした=結局は抵抗線に抑え込まれた、このように判断します。
迅速すぎる損切り=損切り貧乏の可能性大
損切りは迅速に行う、早い段階で見切りを付けて切り捨てる事が勝率を上げる、このような文言を見かける事が多々ありますが、理想論の域を出ず実際はそう上手くいきません。先ほど解説した損切りポイントよりも幅を狭める(直近の安値→前日終値等)ような基準で注文をすると、ちょっとの値動きですぐに損切り決済される可能性が大きくなります。
確かに迅速な損切りは、被害を最小限に抑える役割を果たします。しかし、株価というものは、買われ売られを繰り返し上昇していきます。上がっては下がる、でも下値は切り上がる、これが上昇本来の形です。
損切り幅を狭め過ぎると、損切り決済されたけど、その瞬間からまた株価が上昇してくという悔しい思いをすることも増えてきます。
損切り幅は自らの資金と相談
その他の方法として、自らの資金に応じた損切り幅を設定するという選択肢もあります。資金が豊富な人は損切り幅を広く、そうでない人は狭くするといった考え方です。
この方法もそれなりにメリットがありますが、先ほども言ったように損切の幅を狭め過ぎると、「損切り貧乏」に陥ってしまう可能性が高くなりますので注意が必要です。
逆指値注文による損切は「成行」
基本的に、買い・若しくは空売りの場合は値幅注文で対応し、場合によっては成行も考慮に入れると説明しましたが、損切りにおける逆指値注文では「成行」が絶対です。
損切りの目的は、可能な限り損失を抑え、確実な決済をすることにあります。確かに成行による注文では、自らの意図しない価格で約定してしまうというリスクもあります。しかし、それ以上に「約定しなかったリスク」の方が大きいのです。
何度も言うように、下落の速度は上昇よりも早いです。値幅注文では対応できないような変動をすることも当然のように起こります。
ここで最優先すべきは、確実な損切りの実行なのです。
逆指値注文で利益確定をする方法
買った株が上昇を見せた際は、損切注文が利益確定の注文に変わります。
上記のように、上値抵抗線を抜ける瞬間に買い、直近の安値に損切り注文を出したものの順調に株価が上昇していったとします。
このような場合は損切り注文を取り消し、赤い点線での価格に逆指値注文を切り上げていきます。注文は株価の変動により随時調整していきます。すると、初めは損切り注文だったものが、次第に利益確定の売りへと変化をしていきます。もちろんこの注文はその日の取引が終わった後~翌日の寄付きまでに行えば良いので、日中働いている会社員の方達にも可能な取引方法です。
利益確定の逆指値注文は、値幅注文による対応で構いませんが、値幅を広くとる事、場合によっては成行注文に切り替える事で、急な相場の変動に対応できるようにしましょう。この辺りは個人の裁量が大きく関係してくる部分でもあり、経験の差が問われる瞬間でもあります。
日中は株価を見ない方が成功する事も【過去の経験から】
仕事の合間に株価を見て含み損が出ていると、逆指値による損切り注文に引っかかってないにも関わらず、ビビッてその場で決済したくなる。
私はこのような心理状態に陥った事が何度もありますし、実際に予め出していた損切り注文に達していないにも関わらず、その場で手仕舞いをしたこともあります。
しかし、取引が終わった後で株価を見てみると、終値では順調な上昇を見せていたという事が度々ありました。
株価というものは、日足単位でみれば上昇気流に乗っていても、分足単位で見れば不安定な動きをするものです。つまり、本来のスイングトレードをしていたならば取れたはずの利益を、ザラバ中の一瞬の気の迷いから出した損切り注文により失ってしまったのです。この時、メンタルコントロールの難しさを改めて実感しました。若干の含み損は出ているけれど、逆指値注文には引っかかってないからもう少し様子を見よう、と考える事が出来れば結果は違っていたのです。
実際にこの考え方が吉と出るか凶と出るかは分かりませんが、逆指値注文というセーフティーラインを引いているのなら、それに従うのが正解なのかなとも思います。取れたはずの利益を逃すというのはもの凄く悔しいものなのです。
要点整理
- 心理的に負担となる作業=【損切り、利益確定】を自動化することには明確なメリットがある
- 損切りのポイントは状況により柔軟に変化させる
- 投資家が意識するのは直近の安値と高値、これを考慮した上で損切の注文を出す
- 損切り幅が狭すぎると、損切り貧乏になる可能性が高い
- 損切り幅は自らの資金と相談
- 含み益が出れば損切り注文が利益確定の売りに変わる
- 利益確定の注文は株価の上昇に合わせて価格を切り上げていく